資料修正の指摘事項と理由
元資料「原価の考え方・会社が求めるもの」に対する修正提案
A. 原価・見積りの考え方に関する修正
1
原価構造の定義が不正確
元の記述
「NET=直工原価」「直工」と「原価」を別の概念として図示
問題点
直接工事費は原価の一部であり、別物ではない。この混乱は社員の原価理解を妨げ、見積りミスの原因となる。
修正内容
原価=直接工事費(材料費+労務費+外注費)+現場経費、という正しい階層構造で説明。NETは「税抜売価」として明確に定義。
2
「どんぶり勘定でも受注しやすい」という誤った示唆
元の記述
「Ⓑで作る→(だいたいこれくらいかな)→受注できやすい」
問題点
どんぶり勘定が「受注しやすい」というメリットとして読める。これは赤字受注を助長する危険な考え方。
修正内容
どんぶり勘定は「危険な方法」として明確に位置づけ。原価積上げ方式のメリットを具体的に説明。
3
「SEL金額は休めからない」の意図不明
元の記述
「※SELの金額は休めからない 短縮する」
問題点
「SEL」が何を指すか不明。社内用語であれば定義が必要。教育資料として意味が伝わらない。
修正内容
意図を確認の上、明確な用語で再記述が必要。削除または用語定義を追加。
B. 仕事の進め方に関する修正
4
「安く」の表現が下請け叩きを連想させる
元の記述
仕事の進め方「良い物を|安く|工程通り|安全に」
問題点
「安く」が独立した原則として掲げられると、協力会社への値下げ圧力と解釈される。建設業法上の問題にもなりうる。また、自社が元請から叩かれる側になる構造と矛盾。
修正内容
「効率的に(ムダなく)」に変更。原価低減は「叩く」ではなく「工夫・効率化」で実現するという考え方を明示。
5
「けんかしなきゃ」の表現が不適切
元の記述
「けんかしなきゃ 工程遅れは金カントクのせいです」
問題点
対立を前提とした姿勢は、現場の人間関係を悪化させる。責任転嫁の姿勢は信頼を損なう。
修正内容
「早期に課題を共有し、関係者と協力して解決する」という協調的な表現に変更。
6
「見積書の数量は信じるな」の表現が誤解を招く
元の記述
「見積書の数量は信じるな。もう一度施工図で拾いを行う」
問題点
「信じるな」という否定的表現より、「自分で確認する」という主体的姿勢を示すべき。
修正内容
「施工図で自ら数量を確認し、発注精度を高める」というポジティブな表現に変更。
C. 組織・人材に関する修正
7
「降格」「やめてもらう」という脅しベースの記述
元の記述
「なおらない→やめてもらう→代わりの人はいない→できる仕事しかさせない→降格→おんぶにだっこ=おにもつ」
問題点
恐怖による管理は一時的効果しかなく、社員の主体性を奪う。「変わらなければ切る」という姿勢は、会社への帰属意識を低下させる。また「代わりの人はいない」と言いながら「やめてもらう」は論理矛盾。
修正内容
成長支援の仕組み(目標設定・フィードバック・スキルアップ機会)を明示。「変わってもらう」ではなく「共に成長する」という姿勢に転換。
8
問題提起のみで解決策がない
元の記述
「工事会社として核となる人間がいないのが現状」「サブコンなのか専門工事業者なのか不明な部分で仕事をしている」
問題点
問題の指摘だけで終わっており、どう解決するかの方向性がない。教育資料として「だから何をすべきか」が欠けている。
修正内容
会社の方向性(例:冷媒配管の専門工事業者として特化)を明示し、そのために各人が何を身につけるべきかを具体化。
9
「難しい仕事は受けない」という消極的方針
元の記述
「難かい仕事は受けない、特に複合設備」
問題点
「できないから逃げる」という姿勢では成長がない。また、何が「難しい」かの基準が不明確で、現場判断がバラつく。
修正内容
「強みを活かせる仕事を選ぶ」というポジティブな表現に。受注判断基準(技術・工期・利益率など)を明確化。
10
数字シミュレーションが「できない」で終わっている
元の記述
「受注できる?→できない→設備もやらないといけない」
問題点
計算した結果「無理」という結論で終わっており、ではどうするかが示されていない。社員に絶望感を与えるだけ。
修正内容
目標達成のための具体的アクション(生産性向上・単価改善・新規開拓など)を示す。または現実的な目標値に修正。
修正の基本方針
「恐怖」ではなく「成長」をベースにした組織づくり
「叩く」ではなく「工夫する」という原価管理の考え方
「逃げる」ではなく「強みを活かす」という事業戦略
問題提起だけでなく、具体的な解決策・行動指針を示す
用語の定義を明確にし、誰が読んでも理解できる資料にする